なぜ研修の「アジェンダ(目次)」スライドを削ると、社員が前のめりになるのか?

社内研修や勉強会のスライドを作るとき、なんとなく2ページ目に「本日のアジェンダ(目次)」を入れていませんか?

「今日はこれとこれを学びます」と最初に細かく説明するのは親切に思えますが、実はこれ、受講する社員を「受け身」にさせてしまう原因になっているかもしれません。

アジェンダを最初に見せてしまうと、参加者は「ふむふむ、今日はこういう話を聞けばいいんだな」と、学校の授業を聞くような姿勢(=顧客モード)になってしまいます。本当に大切なのは、研修のテーマを自分事として捉え、自発的に参加してもらう「主役モード」になってもらうことです。

そこで試していただきたいのが、思い切って「詳細なアジェンダスライドを削る」という方法です。

研修のゴールや「この研修を受けるとどんな良いことがあるか(ベネフィット)」は冒頭の1〜3枚目のスライドでしっかり伝えます。その後の細かい流れはあえて見せず、どんどん参加者に問いかけをして、考えさせながら進めていく方が、圧倒的に参加者の集中力が続きます。

参加者を退屈させない「問い→思考→答え」スライドの具体例

では、具体的にどのようなスライド構成にすればよいのでしょうか。ポイントは「問い→思考→答え」という3ステップの流れを意識することです。

多くのスライドは、タイトルの部分に「答え(結論)」が書いてあります。例えば、以下のような構成です。

  • よくあるスライドの例:
    • タイトル:「研修を成功させるには心理的安全性が重要です」
    • 本文:心理的安全性とは、誰に何を言っても拒絶されない環境のこと……

これだと、スライドが表示された瞬間に答えが分かってしまい、参加者は考えるのをやめてしまいます。

これを、以下のように「問い」を1枚挟む形に変えてみます。

  • 改善したスライドの構成:
    • スライド1(問い):「研修に『主役』として主体的に参加するために、最も必要な要素は何でしょうか?」
    • スライド2(思考):(参加者に1分間、隣の人と話し合ってもらう)
    • スライド3(答え):「答えは『心理的安全性』です。発言しやすい雰囲気があるからこそ、主体的に動けます」

このように、「問い」を投げかけるスライドを1枚差し込むだけで、参加者は「え、なんだろう?」と考えざるを得なくなります。この「考える時間」があるからこそ、その後の「答え」が頭にスッと入ってくるのです。

AI(ChatGPT)を使って「問いかけスライド」をサクッと作る実践プロンプト

「そうは言っても、毎回問いかけを考えるのは大変だし、時間がかかる……」

そう思った方もご安心ください。ここでAI(ChatGPTなど)の出番です。 スライドの結論を入力するだけで、参加者に考えさせるための「問いかけ」と「スライドの構成」を自動で考えてくれるプロンプト(指示書)を用意しました。

ChatGPTなどのAIツールに、以下の文章をそのまま貼り付けてみてください。

AIに送るプロンプト例

あなたは優秀な社内研修の講師です。
以下の「スライドの結論」をもとに、研修の参加者が自発的に考えるための「問いかけスライド」と「答えスライド」の構成案を作ってください。

【スライドの結論】
「飲食店の接客において、マニュアル通りに動くだけでなく、お客様の『表情や状況』に合わせた一言を添えることがリピーター獲得に繋がる」

【出力フォーマット】
1. 問いかけスライドのタイトル案(参加者に考えさせる質問)
2. 参加者に考えてもらうワークの指示(30秒〜1分で考えられるもの)
3. 答えと解説のスライド内容(シンプルな言葉で)

AIからの回答例

このプロンプトを送信すると、AIから以下のような具体的なスライド構成が返ってきます。

1. 問いかけスライドのタイトル案
「あなたが『また来たい』と思うお店と、『普通だな』と思うお店の決定的な違いは何でしょうか?」

2. ワークの指示
「隣の人と、最近嬉しかった飲食店の接客について30秒だけ話してみましょう」

3. 答えと解説のスライド内容
「答え:『マニュアル+αの温かい一言』があるかどうか。お客様の表情や天気に合わせた少しの気遣いが、リピーターを作ります」

この回答をもとにスライドを作るだけで、ただの説明資料だったスライドが、あっという間に「体験型・思考型」の研修スライドに生まれ変わります。

宇都宮の社内研修で試してみた!スライド改善のビフォーアフター

先日、宇都宮市内の中小事業者さまで、スタッフ向けの「接客向上研修」を行う機会がありました。

最初は「アジェンダ」を細かく説明し、スライドのヘッダー部分にすべて「〜の重要性」「〜の手順」と結論を書いていたのですが、スタッフの皆さんは少し眠そうな表情でした。

そこで、今回ご紹介した「問い→思考→答え」の構成にその場でスライドを修正しました。

例えば、宇都宮名物の餃子店での接客を例に、「雨の日にわざわざ来てくれたお客様に、最初にかける言葉は何が良いか?」という問いかけをスライドに入れ、グループで話し合ってもらったのです。

すると、「タオルを渡す」「まずは『お足元の悪い中ありがとうございます』と言う」など、スタッフの皆さんから次々と意見が出て、会場が一気に活気づきました。

アジェンダを削り、結論を隠して「問い」から始めるだけで、これほどまでに参加者の熱量が変わるのかと、改めて実感した事例です。

まとめ

研修スライドを作るときは、つい情報をたくさん詰め込みたくなりますが、受講する社員にとっては「情報が多いこと」よりも「自分で考えること」の方がはるかに記憶に残ります。

  • 冒頭の細かいアジェンダスライドは思い切ってカットする
  • 「結論」を先に書かず、「問いかけスライド」を1枚挟む
  • 問いかけの内容はAI(ChatGPT)を使って効率的に作成する

この3つのステップを取り入れるだけで、いつもの社内研修が劇的に変わります。ぜひ、次回の勉強会や研修用スライドを作るときに試してみてください。

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