「数字はあるけど、何を意味するのかわからない」という声をよく聞きます。月次の売上、客単価の推移、来店数の変化——ぼんやりとした感覚はあっても、どこに問題があるのか、何を変えればいいのかが見えにくい。この記事では、手元にある数字をAIに渡して、経営のヒントを引き出す方法を紹介します。


AIに数字を渡す前に「背景」を一緒に伝える

最初に正直に言うと、「数字だけ投げてもAIはあまり役に立たない」です。

「先月の売上が30万円でした。分析してください」と投げても、返ってくるのは一般論ばかりです。AIは数字の意味を文脈なしには判断できないので、「何の数字か」「どんな事業か」「何を知りたいか」を一緒に伝える必要があります。

このひと手間を省くと、的外れなアドバイスが返ってきて「やっぱりAIは使えない」になりがちです。


手順1:数字を整理してAIに渡す

まず手元にある数字をテキストで整理します。フォーマットは表でもCSVでも箇条書きでも構いません。

以下は美容室の月次データです。このデータから改善すべき点を教えてください。

業種:美容室(カット・カラー・パーマ)
場所:栃木県内
客層:30〜50代女性がメイン

月, 来客数, 売上(万円), 客単価(円)
1月, 98, 58, 5918
2月, 85, 49, 5764
3月, 112, 70, 6250
4月, 95, 56, 5894
5月, 88, 51, 5795
6月, 107, 68, 6355

気になっている点:2月と5月の来客数の落ち込みが気になる。
知りたいこと:何が原因として考えられるか、対策として何ができるか。

このように「気になる点」と「知りたいこと」を加えると、返ってくる内容が具体的になります。


手順2:AIの分析を「叩き台」として使う

AIが出してきた分析を読んで、「なるほど」と思える部分と「それは違う」という部分に分けます。

例えば「2月は来客数が少ない」という指摘に対して、AIは「年始の時期の特性」「集客施策の不足」などを挙げてくることがあります。でも実際のところ「2月はうちの近くで工事があって駐車場が使えなかった」という現地の事情があるかもしれません。

AIの分析の価値は「気づきのきっかけ」です。最終的な原因の判断は、自分の経験と現場の感覚で行ってください。


手順3:口コミ・アンケートの定性データも読み込む

数字だけでなく、Googleマップの口コミやアンケートのコメントもAIで整理できます。

以下はGoogleマップのレビューコメントです。
お客さんがどこに満足していて、どこに不満を持っているかを整理してください。
また、改善すべき点を優先順位をつけて3つ挙げてください。

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自分で読むと感情的になりやすいネガティブなコメントも、AIが整理してくれると「そう言いたかったんだ」と受け取りやすくなることがあります。


うまくいかなかった点・注意していること

数字の単位を間違えて渡したとき(万円と円が混在するなど)、AIが間違った計算をすることがありました。数字を渡すときは単位の統一を確認してください。

また、「この数字は良いですか、悪いですか」と聞くと、AIは業界の平均や一般論で答えてきます。自分の業種・規模・地域の相場感はAIには分からないので、そこは専門家(税理士、商工会議所の窓口など)に確認する方が確実です。

Googleアナリティクスのデータをそのまま渡しても、用語の定義や計測の仕様を正確には把握していないAIが的外れな解釈をすることがあります。「セッション数」「直帰率」など基本指標は自分で理解してから渡すことをおすすめします。


まとめと次のステップ

AIで経営データを読む基本は「数字+背景+知りたいこと」をセットで渡すことです。数字だけを投げるより、質問を具体化するだけで返ってくる内容が大きく変わります。

まずは直近3〜6ヶ月の売上・来客数・客単価を月次でまとめて、上記のプロンプトを試してみてください。

経営データの見方や、数字から次の施策を考えるサポートについては、お問い合わせフォームからご相談ください。