なぜ長時間の会議や研修の文字起こしは面倒なのか?
宇都宮市内でも、Zoomを使ったオンライン研修や、社内勉強会を録画してアーカイブにする中小企業が増えてきました。例えば、飲食店の接客マニュアル共有や、建設現場での安全講習など、動画として記録に残しておけば、新しく入ったスタッフへの教育がとてもスムーズになります。
しかし、ここで一つ大きな問題が発生します。
「動画の文字起こしをしようとしたけれど、ファイルが大きすぎて途中でエラーになってしまう」 「無料の文字起こしツールを使ったら、1回につき30分までしか処理できず、動画を3つや4つに分割せざるを得なかった」
こうした経験はありませんか?
動画をいくつかに分割して文字起こしをすると、後半のファイルはすべて「0分00秒」からタイムスタンプが始まってしまいます。
例えば、1本目の動画が「25分30秒」で終わったとします。2本目の動画の文字起こしテキストに「[02:15]」と書かれていても、それは動画全体で言えば「27分45秒」の時点のことです。
これらを1本のきれいな研修資料にまとめようとすると、手作業で「ええと、25分30秒に2分15秒を足して……」と電卓を叩きながら時間を書き換えなければなりません。この地道で泥臭い作業は、想像以上に時間がかかり、心が折れてしまう原因になります。
今回は、この面倒な「タイムスタンプの足し算」と「テキストの結合」を、ChatGPTなどのAIを使って一瞬で終わらせるプロンプト(指示文)のテクニックをご紹介します。
解決策:ChatGPTに「時間の足し算」を任せるプロンプト
AIは文章を書くだけでなく、簡単な計算や、指示に沿ったデータの加工がとても得意です。
「1本目の動画が何分何秒で終わったか」をAIに教えてあげて、「2本目のタイムスタンプにその時間をすべて足して、綺麗に繋ぎ合わせて!」と指示を出すだけで、人間がやると何十分もかかる作業を数十秒で処理してくれます。
さらに、ただ文字を繋げるだけでなく、話の内容を読み取って「ここからは●●についての話」という見出し(アジェンダ)を自動で整理させることも可能です。
さっそく、実際の仕事で使えるプロンプトのテンプレートを見てみましょう。
【コピーして使える】タイムスタンプ自動計算・結合プロンプト
以下の枠内の文章をコピーして、ChatGPTなどのAIツールに貼り付けて使ってください。
あなたは優秀な事務アシスタントです。
分割された文字起こしテキストを、時系列順に1本のきれいな研修資料に統合してください。
以下の「指示」に従って、後半のテキストのタイムスタンプを修正し、全体の要約を作成してください。
【指示】
1. 「後半の文字起こしテキスト」に含まれるすべてのタイムスタンプ(例:[00:05] や [01:23:45])に対して、自動で【前回の終了時間:25分30秒】を加算した正しい通し時間に変換してください。
(例:後半テキストの [01:10] は、25分30秒を足して [26:40] に変換する)
2. 前半のテキストと、時間を変換した後半のテキストの流れが自然に繋がるように結合してください。
3. 結合したテキストを元に、話のテーマが変わる部分を読み取り、適切な「トピック見出し(H3レベル)」とそのテーマが始まる「開始タイムスタンプ」を自動で生成して目次のように整理してください。
4. 修正したタイムスタンプ付きの統合テキストと、テーマごとの簡単な要約を出力してください。
【前半の最終タイムスタンプ】
25:30
【後半の文字起こしテキスト】
[00:00] それでは、後半の講習を始めます。前半では接客の基本についてお話ししました。
[02:15] 次に、宇都宮本店の独自のルールである「餃子の焼き方と提供スピード」について説明します。
[05:40] お客様をお待たせしないために、事前の準備が重要になります。具体的には……
※プロンプト内の【前回の終了時間:25分30秒】や【前半の最終タイムスタンプ】25:30の部分は、お使いの実際のデータに合わせて書き換えてください。3分割、4分割されている場合は、同じように「前段までの累計時間」を計算して指示を出します。
実際にやってみた!プロンプトの実行結果
先ほどのプロンプトをChatGPTに入力すると、以下のような結果が返ってきます。
AIからの回答例
統合された研修資料:宇都宮本店 接客・調理講習(後半)
目次(アジェンダ)
- [25:30] 後半講習の開始と前半の振り返り
- [27:45] 宇都宮本店ルール:餃子の焼き方と提供スピード
- [31:10] 事前準備の重要性と具体的な手順
本文(タイムスタンプ調整済み)
[25:30] 後半講習の開始と前半の振り返り それでは、後半の講習を始めます。前半では接客の基本についてお話ししました。ここからはより実践的な内容に入ります。
[27:45] 宇都宮本店ルール:餃子の焼き方と提供スピード 次に、宇都宮本店の独自のルールである「餃子の焼き方と提供スピード」について説明します。当店では、注文を受けてから焼き上がりまでを極限までスムーズにすることを重視しています。
[31:10] 事前準備の重要性と具体的な手順 お客様をお待たせしないために、事前の準備が重要になります。具体的には、タレのセットや焼き器の温度管理を徹底してください……
このように、後半の「[02:15]」だった部分が、自動的に「25分30秒」をプラスされた「[27:45]」へと正確に書き換わっています。
これなら、後から「あの餃子の焼き方の説明、動画のどこだっけ?」と探すときにも、全体の動画の「27分45秒」あたりを再生すればすぐに目当ての情報にたどり着くことができます。
この方法を使うための3つの手順
このプロンプトを実務でスムーズに使うための手順を整理しておきましょう。
手順1:文字起こしデータをテキストに書き出す
まずは通常通り、お使いの文字起こしツール(Notta、CLOVA Note、Zoomの自動文字起こしなど)を使い、分割された状態のままで構わないのでテキストデータ(txtファイルやメモ帳)を用意します。
手順2:分割地点の「終了時間」をメモする
1本目のファイルの最後の発言が、全体の動画の何分何秒にあたるかを確認します。今回の例であれば「25分30秒」のようにメモしておきます。
手順3:プロンプトに貼り付けてAIに送信する
上記のテンプレートにある「前半の最終タイムスタンプ」と「後半の文字起こしテキスト」をご自身のデータに差し替えて、ChatGPTに送信します。
※もし文字起こしデータの文字数が非常に多く、ChatGPTの1回の送信制限に引っかかってしまう場合は、後半のテキストをさらに小分けにして、「これに25分30秒を足して」「次にこれに足して」と順番に指示を出していくと、エラーにならずに処理できます。
まとめ
長時間の動画や音声を分割して文字起こしした際、タイムスタンプがずれてしまう問題は、AIの「数式累算指示」を使えば一瞬で解決できます。
手動で一つひとつ時間を計算して書き換える必要はもうありません。このプロンプトを活用して、社内の大切な知識やノウハウを、誰でも見やすい「タイムスタンプ付きの研修資料」として手軽にアーカイブ化していきましょう。
スタッフの教育スピードが上がり、業務の効率化にも大きく貢献するはずです。ぜひ日々の業務に取り入れてみてください。
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