補助金の申請や金融機関への融資相談で、事業計画書を求められることがあります。書き慣れていないと、何から手をつけていいか分からない。そういった方向けに、AIを使った下書き作成の手順を紹介します。AIで完成させるというよりも、「白紙から脱出する道具」として使うイメージです。


AIで下書きできる部分・できない部分

最初に整理しておくと、事業計画書のなかでAIが役立つ部分と、そうでない部分があります。

AIが役立つ部分:

  • 事業概要の文章化(箇条書きを文章にする)
  • 市場規模・業界動向の記述(一般的な情報の整理)
  • 競合比較の構造化
  • 収支計画の補足説明文
  • 自社の強みを言語化する

自分で考えるべき部分:

  • 実際の売上・費用の数字
  • 自社の具体的な強みや差別化ポイント
  • 審査員・金融機関に伝えたい「なぜこの事業をやるか」
  • リスクと対応策(自社の実情に合ったもの)

AIは「文章を整える道具」として使い、中身の数字と判断は自分で出すという切り分けが必要です。


AIを使った下書きの手順

ステップ1:事業概要の文章を作る

まず自分の事業を箇条書きで整理して、AIに文章にしてもらいます。

以下の情報をもとに、事業計画書の「事業概要」を400字程度でまとめてください。
読み手は金融機関の担当者です。専門用語は避け、わかりやすく書いてください。

・業種:整体院
・場所:○○市
・開業年:2019年
・主な客層:30〜50代の腰・肩の不調を抱えた方
・提供サービス:整体施術、姿勢改善の指導
・現在の月商:○○万円
・課題:新規集客が口コミ中心で不安定
・これからやりたいこと:Web集客の強化と回数券の導入

出てきた文章を読んで、「自分の言葉ではない部分」「実態と違う部分」を直していきます。

ステップ2:市場環境の文章を補強する

「健康・予防への関心が高まっている」「整体業界は…」といった背景を書く部分は、AIが参考になる文章を出してくれます。ただし、具体的な数字(市場規模など)はAIの出力をそのまま使わず、中小企業庁のデータや業界団体の資料で確認してください。

整体・手技療法業界の市場環境について、
事業計画書の「市場環境」欄に使える文章を300字程度で書いてください。
健康意識の高まり、高齢化の影響、競合状況なども含めてください。

ステップ3:自社の強みと差別化を言語化する

「うちの強みは?」が一番難しいです。AIに質問形式で聞いてもらうと整理しやすいことがあります。

整体院の事業計画書を作っています。
自社の強みと差別化ポイントを整理したいです。
以下の観点から質問してください。答えながら自分の強みを言語化したいと思います。

・他院と違う点
・お客さんがリピートしてくれる理由
・自分が得意なこと、他の人にはできないこと

AIが質問してくる形式にすると、自分では気づかなかった強みが出てくることがあります。


うまくいかなかった点・気をつけること

AIが出してくる「市場環境」「業界動向」の記述は、一般論になりがちです。「○○市の整体業界では…」という地域に即した内容はAIには書けません。地域の実情は自分で補足する必要があります。

また、「収支計画」の数字についてAIはノータッチにする方が無難です。実態と乖離した楽観的な数字を出してくることがあり、それを修正するより、自分でスプレッドシートを作る方が早いです。

補助金の申請様式は公募ごとに異なります。「事業計画書の書き方を教えて」とAIに聞くと一般的な構成を返してきますが、実際の様式と合わない可能性があります。公式の申請要領を必ず確認してください。


まとめと次のステップ

事業計画書でAIが使えるのは「文章にする」「整理する」の部分です。「数字を作る」「判断する」は自分の仕事です。その切り分けを意識すると、AIを使ったとしても自分の言葉で書けた計画書になります。

補助金の申請や融資の準備について相談したい方、または事業計画書の内容を一緒に考えたい方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。